選挙ポスター「見る側」から「貼る側」にまわった

静かに応援したいだけなので、どこの党とはいいませんが (仮に「A 党」とします)、さきに行われた「第 27 回参議院議員通常選挙」において選挙ポスター貼りのボランティアを募集していたので、応募してみました。人生初の選挙ポスター貼りです。「ちょうどこれから選挙ポスターを貼るところだったんです」という方の参考に供することを願って、私の体験談を書き留めておこうと思います。

応募からポスターの受け取りまで

そもそも主要政党のなかでポスター貼りのボランティアなんて募集しているところは少ないと思いますが、もし募集していたとして、自分が貼るポスターはどうやって受け取るのか?これもまた政党によって異なると思いますが、A 党の場合、ネット上の申し込みフォームから申し込むと、自宅に郵送されてくるようになっていました。その際、住所、氏名、ポスターの枚数を入力のうえ、身分証明書のコピーを添付します。

枚数は 25、50、100 枚から選べます。私は初めてだったので、控えめに 25 枚にしておきました。慣れた方だと 100 枚では足らず「追いポス」するらしいです (結局私も、初回分が思いのほか早く貼れたので、後日 25 枚だけ「追いポス」しました)。

申し込み後、数日で自宅に届きました。あとは貼るだけ……とはいかず、その前に選挙ポスターの取り扱いには注意を要するので、事前に確認しておきましょう。これについては次の節で。

ポスターの取り扱いについて (法律的なこと)

郵送されてきたポスターといっしょに、取り扱いに関する注意事項が同梱されていました。概略下記のとおりです (括弧内は根拠となる法律です。私が調べたので、まちがえている可能性があります)。

  • 候補者の氏名が書かれていること (公職選挙法 第百四十四条の四の二)
    → A 党の場合、選挙区のポスターが一部の選挙区を除き、全国共通のデザインでした。そのため、貼る人自身が自分の選挙区の候補者の氏名を油性マジックで記入しなければなりませんでした (これが地味に大変だった)。
  • 公示日より前に貼ってはいけない (同 第百二十九条)
  • 公示日より前に SNS 等にアップロードしてはいけない (同上)
  • 投票日の当日や、その日以降に貼ってはいけない。貼れるのは投票日の前日まで (同上)
  • 掲示板以外の場所に貼ってはいけない (同 第百四十五条)
  • 掲示板の指定された番号の枠に貼る。それ以外の枠に貼ってはいけない (同 第百四十四条の二 5、6、7 あたり?)
    → 枠線内なら、少々の曲がり・しわは OK。
  • 自陣営の枠に他陣営が間違えて貼ってしまった場合、勝手にはがしてはいけない、上貼りしてはいけない (同 第二百二十五条 第二号)
    → 見つけた場合は、選挙管理委員会に連絡し指示を仰ぐ。

気をつけていれば特に難しいことはないんですが、うっかりしているとついやってしまいがちではあります。うっかりでもやってしまうと公職選挙法違反となり、罰則もあるので要注意です。

ポスターの貼りかたについて

さて、iPhone の画面保護シートを貼るにも必ず気泡を入れてしまう私にとって、ポスターをきれいに貼ることができるか?はなかなかの懸念事項でした。ポスターの貼り方もいろいろらしく、裏面がシールになっていたり、シールになってなかったり、なっていない場合は「タッカー」という道具を使ったり、画びょうで留めたりするようでした。A 党の場合は、裏面がシールになっているタイプで、正面から見て右側の辺の台紙が幅2センチほど、先にはがせるようになっていました。その部分を掲示板に貼り付け、気泡が入らないように右から左へ押し広げながら、台紙の残り部分をちょっとずつはがしていきます (ちなみにこのタイプにしたのは今回の選挙からで、その前はタッカーを使っていたそうです。本当かどうか知りませんが、タッカーを使うと、夜中に貼るのは憚られるほどの激しい音を発するそうです)。試しに1枚、家の近くの掲示板に貼ってみたんですが、思っていたよりもぜんぜん簡単・きれいに貼ることができました。

掲示板はどこにある?

次に問題となるのはこれです。私は当初、自分の生活圏内で見かけたことのある3ヵ所くらいを除き、どこにあるのか見当もつきませんでした。あてもなく探すほどの時間も体力もありません。幸いなことに、わが飯田市では「いいだ Web まっぷ」というサービスで市内の掲示板の場所をすべて閲覧できるようになっておりました。飯田市に住んでいて、こんなにうれしいと思ったことはありません。

ちなみに、掲示板の場所をネットに掲載しているかは自治体によってまちまちのようです。公職選挙法 第百四十四条の二 4 に「市町村の選挙管理委員会は、第一項の掲示場を設置したときは、直ちに、その掲示場の設置場所を告示しなければならない。」とあるので、市町村の選挙管理委員会にお願いすれば、リストとかくれるのかもしれません。

で、「いいだ Web まっぷ」でざっと確認すると、市内にだいたい 420ヵ所くらいの掲示場があることがわかりました (連番になっていればだけど)。私が貼ろうとしているのは、そのうちのなんとたった 25ヵ所です (笑)。こうなると、当初は「家の近くを適当に周って適当に貼ればいっか」と考えていたのですが、「どうせ貼るなら最小の枚数で最大の効果が得られる場所に貼りたい」という変な意欲が湧いてきます。

素人の浅知恵で考えるに、お年寄りはポスターなど見なくても選挙に行くだろうし、誰に投票するかももう決まっているであろう。であれば、選挙権を獲得したばかりの高校生だとか、今回は選挙権を持っていなくても、近い将来に得るであろう高校生や中学生を狙ったほうが、長い目で見ればよいのではないか?ということで、中学校や高校、さらにはその最寄り駅を中心に貼ることにしました。それでもしポスターが余ったら、投票日当日まで決めかねている人の後押しとなることを期待して、投票所の前にある掲示板に貼ることにしました。こうなると方角がばらばらで、とても一回では周り切れないので、選挙期間中、時間のあるときに数回に分けて貼りに行きました。

ちなみに投票所の場所は「いいだ Web まっぷ」には掲載されていなかったのですが、市役所の掲示板に貼りに行ったついでに選挙管理委員会の窓口に寄って聞いたら、リストを紙でくれました。いままでまるで縁のない場所でしたので、これもまたいい経験になりました。

移動について

私は知らない道を車でウロウロするのは苦手だし、掲示場の近くに駐停車できる場所があるかもわからないので、基本は徒歩と電車で移動することにしました。徒歩では無理な遠い場所で、かつ確実に車を停められる場所があるところは車で行きました。大きな政党になると、ポスター貼り作業が組織化されていて、(駐停車してもすぐ動かせるように) 2人1組で車で周って、半日程度ですべての掲示板に貼ってしまうそうです。なんか竹やりで爆撃機に挑むような心境……。

また、暑いさなかですので本当は日が沈んでからやりたかったのですが、安全のために日中に行うことにしました。夜だと飲酒運転のクズに轢かれるかもしれないし、知らない道は危険箇所がわからないので怖いです。真夏の紫外線さらされピクニック。いいんじゃないでしょうか。

持ち物

私が持っていった物は次のとおりです (写真 1、2)。

  • ポスターの入った梱包箱 (郵送されてきたものをそのまま使用)
  • 背負子 (キャンプに使えるかもと思って買ったのをずっとほったらかしてた)
  • 水筒 (ナルゲンボトル 900 ml) 中身はもちろん飯田市水道局のおいしい水。
  • 時間つぶしのための文庫本 (※1)
  • ごみ袋 (シール台紙回収用)
  • 折りたたみ式の踏み台 (※2)
  • 手ぬぐい2枚 (※3)
  • ふじっ子 (塩分補給用の塩こんぶ)
  • うちわ
  • 折りたたみ傘
  • バックパックカバー (の代わりとなる自治体指定ごみ袋)

※1) 文庫本は電車の待ち時間等に読もうかなと思って持っていったのですが、実際にはまったく必要ないことがわかりました。田舎の駅の待合室にはエアコンなどという気の利いたものは設置されておらず、とても読む気になぞなりません。また、飯田線は1時間に1本しか電車が来ません。風の通らない待合室でじっと待っているより歩くほうがまだましだと思って、一駅二駅くらい歩くことのほうが多かったです。代わりに必要だなと思って、2回目以降で追加したのが写真 2 の品々になります。

※2) 掲示板は手の届かない高い位置に設置される場合もあるので、踏み台はあったほうがいいです。でも無理する必要はありません、安全第一です。なんといってもボランティアですからね。

※3) 手ぬぐい2枚のうち1枚は、雨など降った場合に、ポスターを貼る前に掲示板を拭くためです。もう1枚は、ポスターを貼るときに上から押さえて気泡ができないようにするのに使います。素手でやるよりもやりやすいです。

写真 1: 基本の持ち物
写真 2: 追加の持ち物

で、パッキングするとこんな感じ。

写真 3: パッキングした状態

やってみた感想

というわけで、令和 7 年 7 月 3 日から同月 19 日までの選挙期間中、数回に分けて実際にポスター貼りをやってきました。その感想をいくつか挙げます。

  • 25 枚は意外と貼れる
    上のほうでも少し書きましたが、最初は「25 枚も貼れるかな?」と心配していましたが、やっているうちにあそこに貼りたい、ここも貼りたいと欲が出てきて、けっこうすぐに貼れてしまいました。そこで「追いポス」でさらに 27 枚 (25 枚で申し込んだのになぜか2枚余計に入っていた) を追加、都合 52 枚を貼り切ることができました。次回もしやるとしたら、100 枚でもいけそうな気がします。
  • 「きれいに貼れるか」は気にするな
    やる前は私も心配していたのですが、だいたいどこの陣営も 10ヵ所あったら2、3ヵ所くらいの割合でしわが寄っていました。なんなら私が一番きれいに貼れていたと思います。たぶん他の陣営はすべての掲示板に短時間で貼らなくてはならなかったので、1枚1枚丁寧になんてやってられなかったんだろうと推測します。
  • 先客がいた!
    同じ地域で私のほかにもボランティアに応募した方がいたらしく、行ってみたらすでに貼られていた、ってこともありました。そんなときは「おっ同志がおるんだなあ」と思って、それまでの疲れも吹っ飛んだものです。ですが、後に X (Twitter) で知ったのですが、100 枚も 200 枚も貼るような方にとってはそういうことがあると逆にがっくりきてしまうようです。それはそうですよね、あちこち周ってヘトヘトなのに、誰かが先回りしていたら……。これも後から知ったことなんですが、選挙区によっては、ボランティアどうしでオープンチャットを使い、貼った/貼ってないリストを共有していたようです。そうとも知らず私は自分勝手に貼っていたので、まずは自分の選挙区にそういう情報があるか確認するべきだったな、と思いました。そこは次回に向けての反省材料です。

おわりに

この記事を書いている現在、「第 27 回参議院議員通常選挙」の投開票はすでに済んでおります。結果は A 党にとっては残念なものでした。でももし私が貼ったポスターを誰かが見て A 党に票を入れてくれていたとしたら、それはとてもうれしいことです。さらにいえば、別にどこの党だっていいんです、貴重な選挙権を放棄せず、自分がここと決めた党 (または人) に投票さえしてくれたら。真のラスボスは組織票なのです。そういう意味では、今回投票率が上がった (詳細は総務省の資料を参照) ことは素直にうれしいです。私は微力ながら、投票率を上げるべく、やれることをやっていこうと思っております。